敬意

「××様のようになりたいです」「××様を見習わないと」・・・たとえ本心でも、あまり聞きたくない言葉です。あまりにも、おもねる響きが強すぎて。真面目にやろうという気にもなっていなかった人が目標や手本に出来るレベルというのは、実際のところは大したことはない気もしますけれども。
不愉快。不愉快。敬語を遣いさえすればいいと思っていること。「様」とか「先生」とか呼んでやれば喜ぶと思われていること。・・・中身のない褒め言葉っていうのは、自分に向けられたものでも、他人に向けられたものでも、不愉快です。特に、実力ないのに誉められたりすると、厭になる。実力ないのに言われて喜んでるのも嫌だし、「そんなことないですよ〜」とか建前上だけ謙遜したつもりになってたりすんのもみっともないし。・・・それとも、これって、本当は嫌いだから言うのかしら?「全体の中では下の方よね」とか「そんなことない?うんうん、まったく、その通りだね〜」とか、周りの人が思うように。どういう反応しても、馬鹿みたいだものねぇ・・・。


敬意って、なんなんでしょう?敬語を遣いつつ馴れ馴れしい人、敬語を遣いながらもやっていることは無礼な人、義理があるから仕方ないとはいえ、傍目から見ると、無理に誉めようとしているように見える人・・・。


私が今までにいただいた言葉の中で最大の褒め言葉は、手厳しい意見とその後の「××さんなら、きちんと冷静に聞いてくれると思ったから」という言葉でした。すごく嬉しかった。嘘をつくのも礼儀の場合もあるけど、本当のことを誰も教えてくれないのでは、いつまで経っても変わらない。ブスにブスと言うのは失礼だけど、「ここのメイク浮いてない?こっちに変えたら?」とか言うのも「失礼」と怒って切り捨てる程に狭量だったら、交流の意味がない。
井の中の蛙やお山の大将もいいけど、井戸の中やサル山を外から見てる人もいるってことを忘れない方が自分のためにいいだろう。気付かなければ、現実を消しされる、というおめでたい頭してるなら、別にいいけど。


昔、「カリスマになりたい」と言っていた人がいた。しかし、美容師免許持ってないカリスマ美容師以下で・・・たとえて言うなら、「美容師やってないし、やる予定もない、カリスマ美容師志望者」(笑)
結局のところ、敬意って何なのだろう?能力が評価されるのは嬉しいし、人格を信頼して尊重してもらえるのは嬉しいけど・・・中身がなくても、形の上で敬意をはらうのは不可能ではなさそうだし・・・わからない。
・・・それとも、わかっていないのは、敬意というものではなく、人の心なんだろうか?